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著作権の無方式主義とは? 2011-09-03

質問

初めまして。こんにちは。

特許権を得るためには申請をする必要があるのに対して、著作権の場合は申請しなくても著作権が認められると聞きます。
それはどうしてなのでしょうか?

回答

ご質問ありがとうございます。
著作権が発生するためには申請は必要ありません。文章でも絵画でも音楽でも、およそ著作物を創作した時点で自動的に著作権が発生します。

同じ創作の分野(知的財産権)の特許権の場合、権利が発生するためには出願をする必要がある点で、著作権とは異なります。
特許権は、技術的な「アイデア」を特許庁に出願、審査を受けたうえで特許権が与えられます。審査の際には産業上の必要性、新規性、進歩性などが考慮され、すでに同じ「アイデア」が出願・登録済みであれば、後から出願したものには特許権は認められません。

著作権の場合は、申請・出願や登録という手続きは不要です。これは著作権の「無方式主義」といわれるもので、著作物を創作した人が著作者の権利を取得するためには何らの手続きを必要としないという原則です。

参考

  1. 著作権法第17条第2項
    「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行も要しない。」として、無方式主義をとることを定めています。
  2. 著作権法第51条第1項
    「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。」として、創作した時点で自動的に著作権が発生することを定めています。

この著作権の無方式主義は、著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」で定められており、、日本はベルヌ条約に加盟、著作権法で無方式主義をとることを規定しています。
実は、著作権にも「方式主義」といって、著作権が発生するためには申請や登録を必要とする法制度をとる国もあるのですが、少数の国にとどまっており、現在では「著作権の無方式主義」が国際ルールとなっています。
なお、著作権は創作した時点で自動的に発生しますが、著作権が発生した事実を第三者に証明するためには、著作権がある時点で存在したことを証明する手段が必要となります。そのために、著作権法では「実名の登録」をはじめとする各種の登録制度が定められています。この登録制度は著作権が発生するためのものではありませんので、混同しないでください。

著作権登録制度を利用するメリットは? 2011-09-03

質問

著作物を作りました。
著作物は創作すれば権利が発生するそうですが、著作権を登録する制度もあると聞きました。
登録制度を利用するメリットを教えてください。

回答

著作権は、著作物を創作することによって自動的に発生しますので、著作権の取得するための登録手続きは必要ありません。
これを無方式主義と言います。
ところが、著作権法は、実名の登録(法第75条)、第一発行(公表)年月日の登録(法第76条)、創作発行年月日の登録(法第76条の2)、著作権の登録(法第77条)を定めています。

それでは、何故に、どのような理由で著作権の登録制度があるのでしょうか。
著作権の登録制度は、著作権の権利関係を公示したり、著作権が譲渡された場合に取引の安全を図る事にあります、更に、著作物の著作者
として推定されるという法的効果もあります。

登録制度を利用する具体的なメリットとしては、以下のものがあります。

  1. 実名の登録の場合
    無名または変名(ペンネーム等)で公表された著作物の著作者は、その著作物について実名(本名)の登録を受けることができるとされています。
    無名または変名(ペンネーム等)で公表された著作物の保護期間は、公表後50年間とされています。これに対して、実名(本名)の登録を行いますと、登録者はその著作物の著作者として推定されます。そのため著作権の保護期間が実名で公表された場合と同様に著作者の死後50年間となり著作権の保護期間が延長されます。
  2. 第一発行年月日の登録の場合
    著作者または無名・変名(ペンネーム等)の著作物の発行者は、著作物を最初に発行した年月日(第一発行年月日)または最初に公表した年月日(第一公表年月日)の登録を行うことができます。
    登録されている日に著作物の第一発行または第一公表があったものと推定されます。また、登録されている日が、保護期間の起算点となります。
  3. 創作年月日の登録の場合
    プログラムの著作者は、創作後6カ月以内にプログラム著作物の創作年月日の登録を受けることができます。
    この登録によってプログラムが登録年月日に創作されたものと推定されます。また、登録されている日が、保護期間の起算点となります。 
  4. 著作権の登録の場合
    著作権は、財産権ですので当事者によって売買できます。また、お金を借りる時の担保として質権を設定することができます。著作権の移転等によって権利の変動があったときは、権利変動について登録をしていなければ第三者に対抗できないとされています。
    第三者対抗要件としての登録です。
    例えば、著作権者がAさんに著作権を売却したとき、登録をしない内に、更にBさんに同じ著作権を売却した場合には、Aさんは登録がないため自分が著作権者であるとBさんに主張することができません。
    もし、BさんがAさんよりも登録を先に行ってしまえば、Bさんが著作権者となります。
    このように登録は、譲り受けた著作権を確保し確実に自分の権利とするために極めて重要な役割をはたしています。

以上のように、著作権の登録制度は、特許権のように登録によって始めて権利を取得というものではありませんが、著作者として推定されるという法的効果及び著作権の権利関係を公示する、著作権が譲渡された場合に取引の安全を確保(第三者対抗要件)する点、並びに実名登録の場合は、著作権の保護期間が延長される事にメリットがあります。

ホームページ運営における著作権法上の注意点をおしえてください。 2011-09-03

質問

都内で会社経営をしています。自社のホームページについて質問させてください。
自社でウェブサイト(ホームページ)を運営していますが、著作権法上、気をつけなければならない点を教えてください。

回答

ご質問ありがとうございます。
さて、ウェブサイト運営時の著作権法上の注意点という事ですが、作成するウェブサイトの掲載コンテンツによって、様々な注意点が発生します。
そのため、一概にこれだと答えずらい、というのが正直な意見ですが、大まかにウェブサイト作成時に注意すべき点は2点です。

  1. 他人の写真、音楽、、映像、絵、文章(いわゆる著作物)などを無断で掲載しないこと。
  2. 他人に自身の掲載されているコンテンツを無断で使用しないための表示を掲載すること。



それぞれの場合について気を付ける事項は以下のとおりです。

  1. 他人の写真、音楽、、映像、絵、文章(いわゆる著作物)などを無断で掲載しないこと。

     

    他人の作成した写真や音楽を使用したい場合は著作権者に別途許諾を得てから使用するようにしましょう。

  2. 他人に自身の掲載されているコンテンツを無断で使用しないための表示を掲載すること。

     

    「Copyright © XXXXX」といった形で自身に著作権があること明確にするとともに、「無断転載、複写を禁じます。」等の文言を記入し、自身のコンテンツを保護しましょう。

これは大まかな括りでの注意点であり、実際に掲載するコンテンツよって個別具体的に判断する必要があります。
もし掲載コンテンツについて著作権法上、気になる点がありましたら個別に専門家の指示を仰いでください。

新聞記事等を営業活動に利用するには? 2011-09-03

質問

ある新聞・雑誌の記事や統計データを営業活動や宣伝広告DMに
使用したいと考えていますが、著作権法上何か制約がありますか。

回答

他人の著作物を、コピーしたり、インターネットで送信したりするなどして、ビジネス利用、即ち、営利目的で利用するには、原則として、その著作物等の権利者から許諾を得なければなりません。
ご質問のケースのような、新聞・雑誌のような編集物も同様に、「編集著作物」として保護されていますので、出版社などの権利者から許諾を得なければならないということになります。
そして、権利者から許諾を得なければならない場合、「権利者」は誰か(権利者の特定)、どのような許諾契約となるか(契約の締結方法、利用料ないしライセンス料等)などを調査・検討する必要があります。


ただし、例外として、次のような場合には、権利者の許諾を得なくても利用することができる場合があります。

  1. その著作物等が、そもそも著作権法上の保護対象とならない場合
  2. その著作物等の保護期間が切れている場合
  3. 著作権法上の、いわゆる「権利制限規定」に当たる場合

したがって、貴社で利用したい新聞・雑誌の記事や統計データが、これらの例外に当たるかどうかも念のため調査・確認する必要があります。


許諾を要するか否か(上記例外にあたるか否か)が不明なときや、権利者が容易に特定できないときなど、専門的な調査が必要な場合には、お近くの著作権相談員の行政書士へ相談されることをお勧めします。

出版物を複製する際の事前手続きは? 2011-09-03

質問

企業内研修で、ある出版物の一部をコピーして配布したいのですが、どのような手続きをふめばよいでしょうか?

回答

たとえ従業員のスキルアップ等の目的でなす研修において利用する場合であったとしても、利用者が会社である以上、コピーし配布する行為は営利を目的する行為にあたります。
企業はその研修によって、社員の能力を向上し、その結果、利益を上げていくからです。
よって、著作権利用許諾申請書等を管理団体等に提出し、許諾を得る必要があります。
許諾を得るための手続きの詳細につきましては、お近くの著作権相談員の行政書士にご相談ください。
また、念のためにご利用される出版物が著作権法上の「著作物」にあたるかをご確認ください。

予期せぬ事態が発生したため、止むなく出版物のコピー対応で その場凌ぎをしてしまった。 2011-09-03

質問

有料の公開セミナーを開催したところ、当日、想定以上の飛び入り参加者があり、準備していたテキストとして使用する出版物が不足し、一部の方にコピーをお渡しするという事態に至ったんですが、事後処理はどのようにすればよろしいか?

回答

当然ながら「著作権法上、出版物を無断でコピーして配布する」という行為は許されません。

ご質問のケースの場合、著作権法上問題が生じないよう、出席予定者数分の出版物を購入して準備していたが、想定した配布予定数を超えたため、やむなくコピー配布で「その場凌ぎ」したものであり、悪質性がないと考えられます。
したがって、事後速やかに出版社に連絡し、顛末を報告の上、不足相当数の出版物を購入して、対象者に送付するという方法が最善でしょう。

この種のセミナーを開催される場合には、出版物を直接書店から購入する前に、出版社に連絡して(連絡した段階で割引直販を提案される場合が多く、原価低減にもつながります)、対応を相談して決定しておくという方法が望ましいでしょう。

ご質問のケースなど、実務上発生が予測される様々な場面を予め想定して、それぞれの場合の対応を決めておくということが、リスクマネジメント上も有効です。

個々、具体的なケースについては、著作権相談員の行政書士など専門家に相談されることをお薦めします。

著作権侵害の責任は? 2011-09-03

質問

HPの作成を外注したんですが、とあるPHOTOライブラリーから「使用している写真は、当社に著作権があるので、所定の使用料を支払え」という内容証明書が届きました。どうすればよろしいか。

回答

PHOTOライブラリーに写真の著作権があることを確認し、もしあるのであれば、所定の使用料が妥当な金額であれば、支払うしかありません。

しかし、HPの作成を外注したということなので、外注時の契約書を確認してください。

通常は、契約書に「保証」という項目があり、HP制作会社は

  1. 納入された成果物(本件の場合は、HP)が第三者の著作権、肖像権その他いかなる権利も侵害するものでなく、かつ、合法的なものであることを保証する。
  2. 万一前項に関して第三者から異議、苦情等の申立あるいは実費または対価の請求、損害賠償請求等があった場合は、弁護士費用を含めて、HP制作会社の責任と負担においてこれを処理し、依頼者には一切迷惑、損害をかけないとする。

となっておりますので、この場合は、全てHP制作会社にて処理をしてもらうということになります。
契約書を持参のうえお近くの著作権相談員の行政書士へ相談されることをおすすめいたします。